コンテンツへスキップ

遺言書作成の種類と手順

相続手続きナビ大阪 Editorial Team 相続手続きナビ大阪 Editorial Team 15 分で読む

遺言書作成で相続を確実に

遺言書作成は、財産の承継先を明確にし、相続開始後の手続きを確実にするための法的備えです。不動産、複数の預貯金口座、事業用資産がある場合、口約束や家族間の了解だけでは手続きが進まず、相続人の負担と対立が増えることがあります。遺言は気持ちだけでなく、民法の定める方式に従った作成が効力を決定します。

遺言書作成の5つの要点

  • 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3方式があり、確実性と手間が大きく異なる
  • 自筆証書遺言は全文自書、日付、氏名、押印が必須で、方式不備は無効につながる
  • 公正証書遺言は公証人と証人2名が関与し、原本が公証役場で保管されるため、紛失・改ざんリスクが低い
  • 法務局の保管制度を使うと外形チェックと死亡後通知で手続きが進めやすくなる
  • 遺留分への配慮、財産特定、遺言執行者の設計が実務で通る遺言を左右する

遺言が必要になる理由

相続では、預貯金の解約・払戻し、不動産の名義変更、株式や投資信託の移管、生命保険金の請求など、資産ごとに必要書類と窓口が異なります。さらに、相続人全員の合意が必要になる局面が多く、合意形成が難しいと、財産が動かせない期間が長引くことがあります。

遺言があると、遺産分割協議を要しない形で承継先を指定できる場面が増え、相続人の心理的負担と事務負担を同時に減らせます。特に不動産や事業用資産、複数の預貯金口座がある場合、遺言による明確な指定が手続きをスムーズにします。

口約束や家族間の了解だけでは、相続開始後に手続きが進まず、結果として相続人の負担と対立が増えることがあります。遺言は気持ちだけでなく、民法の定める方式に従った作成が効力を決定するため、種類の選択と手順の踏み方が要点になります。

遺言書の3つの方式

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の特徴と選び方

方式別の特徴比較

自筆証書遺言

遺言者が自分で作成する方式で、証人は不要です。原則として遺言書本文、日付、氏名を自書し、押印します。財産目録はパソコン作成や資料の写し添付が認められていますが、その場合は目録の全ページに署名押印が必要になります。費用を抑えやすい反面、保管中の紛失・改ざん、発見されないリスク、方式不備のリスクが残ります。訂正方法にも方式があり、一般的なメモの修正の感覚で書き直すと無効リスクが上がります。

公正証書遺言

公証人が遺言者の意思を確認し、法定の方式に従って作成する遺言です。証人2名の立会いが必要になりますが、形式の整合性を公証人が担保するため、後日の方式争いが起きにくいことが最大の強みです。原本が公証役場で保管され、家庭裁判所の検認も不要で、金融機関や法務局での実務が進めやすいことが多いのが現場感です。費用がかかりやすい反面、確実性が高く、相続開始後の手続きがスムーズに進みます。

秘密証書遺言

内容を他人に見せずに作成しつつ、遺言の存在や提出者が遺言者であることを公証人の手続で確保する方式です。遺言者が内容を記載した書面に署名押印し、封筒に入れて同じ印章で封印したうえで、公証人および証人2名の前に封書を提出します。内容の秘匿性は高い一方、形式不備や保管面での扱い、相続開始後の手続きの分かりにくさから、実務で選ばれる頻度は多くありません。家庭裁判所の検認が必要になり、内容の法的整合性は別途の検討が要ります。

自筆証書遺言・公正証書遺言の比較

手軽さの自筆、確実性の公正証書という整理になります。相続開始後に何が起きるかまで含めて選ぶのが安全です。法務局の保管制度を使うと自筆証書遺言の弱点である保管と発見を補強できます。

項目 自筆(自宅保管) 公正証書
作成の関与者 本人のみ 本人、公証人、証人2名
検認の要否 原則必要 不要
紛失・改ざん リスクあり リスク低い
費用感 実費程度 財産額に応じた手数料

法務局の保管制度を使うと、自筆証書遺言も検認不要で紛失リスクを大きく下げられます。

遺言書と印鑑と書類を整理するイメージ
遺言書作成で相続手続きを確実にする法的備え

遺言書作成の8段階の流れ

遺言書を作ったつもりで終わらせないための現実的な流れは、次の8段階で整理できます。目的を言語化し、相続人候補を確認し、財産を棚卸しし、分け方を設計し、方式を選び、文案を具体化し、実行の仕組みを付け、定期的に見直します。

  1. 目的を言語化する(特定の人に不動産を承継させたい、事業の引継ぎを明確にしたい等)
  2. 相続人候補を確認する(戸籍の連続性、認知・養子・代襲の可能性を含めて把握する)
  3. 財産を棚卸しする(不動産、預貯金、証券、貸付金、共有持分、負債も含めて一覧化)
  4. 分け方を設計する(遺留分の目安、換価しにくい資産の偏り、納税資金の確保を考える)
  5. 方式を選ぶ(自筆・法務局保管・公正証書・秘密証書のどれが実情に合うか)
  6. 文案を具体化する(財産特定、承継方法、相続させる・遺贈するの使い分け、予備的指定)
  7. 実行の仕組みを付ける(遺言執行者の指定、保管方法、関係者への伝え方や通知制度の活用)
  8. 定期的に見直す(資産の増減、家族構成の変化、不動産の売買や口座の移転があれば更新)

公正証書遺言の費用と手続き

公正証書遺言の費用感と証人手配

費用と証人

公正証書遺言の費用感と証人手配

公正証書遺言の公証人手数料は、相続または遺贈を受ける人ごとに、その人が受ける財産の価額を目的価額として算定し、一定の基準表に当てはめた手数料を合算して決まります。基準表の代表例として、目的価額が100万円超200万円以下は7,000円、500万円超1,000万円以下は20,000円、1,000万円超3,000万円以下は26,000円、5,000万円超1億円以下は49,000円といった区分が示されています。さらに、1通の遺言公正証書における目的価額の合計が1億円までの場合、遺言加算として13,000円が加算されます。

遺言作成の実務ポイント

財産特定、遺留分、遺言執行者の設計が通る遺言を左右します

財産特定と遺留分への配慮

遺言の文章を通る形にするうえで、実務上よくつまずくのが財産特定です。不動産は所在・地番・家屋番号、預貯金は金融機関名・支店名・種別・口座番号、有価証券は銘柄と口座、保険は契約内容の整理など、第三者が見ても一意に特定できる情報が必要です。自筆証書遺言で財産目録を別添にする場合は、目録が差し替えられたと疑われないよう、署名押印やページ管理を丁寧に行います。

内容面での注意点として、遺留分への配慮は避けて通れません。遺留分の権利があるのは、配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属で、兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分を侵害する遺贈・相続指定は直ちに無効になるわけではありませんが、相続開始後に侵害額請求が起きると、結果的に受け取る人の資金繰りや不動産の保持に影響します。

不動産を特定の人に集中させたい場合は、代償金の準備、生命保険の活用、換価しやすい資産の配分など、現実に着地する設計が必要です。遺言執行者をどうするかも、手続きの速度を左右します。遺言で遺言執行者を指定していない、または執行者がいなくなった場合、家庭裁判所へ申立てをして選任してもらうことができます

遺言執行者が必要になりやすいのは、認知、相続人の廃除、特定の手続きが集中するケース、相続人間の連絡が取りにくいケースなどで、誰が何をするかを遺言内で整理しておくほど、相続開始後の実務は落ち着きます。

遺言書見直しの6つのチェックポイント

遺言は一度作って終わりではなく、資産と家族の状況に追随させることで初めて効果を発揮します。見直しの目安として、次の6点を定期的に確認しておくと、実務で困りにくくなります。

  • 相続人関係に変化がないか
  • 主要な不動産や口座が増減していないか
  • 受け取らせたい人の状況が変わっていないか
  • 遺留分に配慮した配分になっているか
  • 遺言執行者や連絡先が現役の情報か
  • 保管方法を確実に辿れる状態にしているか

専門家に相談

遺言書作成のご相談を承ります

不動産が複数ある、親族関係が複雑、相続税や納税資金の見通しが気になる、事業承継を絡めたい、遺留分を踏まえた配分を設計したいといった場面では、専門家への相談が確実です。大阪で遺言書作成の相談をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

新着記事をメールで受け取る

スパムはありません — このトピックの新しい内容だけをお届けします。

いつでも購読を解除できます。